日々は続く。
(生きとし生けるもの。
☆
11月は映画月間。
ただでさえ好奇心旺盛で取っ散らかり気味なのに、
11月は観たい作品がてんこ盛り盛りで、原作のあるものは原作を読んだり資料を取り寄せて調べたり現地を訪ねるものだから、時間も体力も足りないのである。
今回、この映画を観ていたら、山形のおっちゃんたちが降臨した。
春夏秋冬土を喰らう。
山菜、小芋ちゃん、筍に梅干しに梅ジュース…季節の野菜や果物たち。
まさに映画で描かれているような生活をしている。
生きるための工夫や手間暇、知恵があらゆるところにちりばめられている。
決してラクとは言えない生活だ。
生きるってなんて大変なのだろう。
便利快適安心安全と一見思わされている、温室加工世界にどっぷり浸かる我が身を振り返る。
それにしても食事のなんともおいしそうな事よ。
料理を担当したのが土井善晴さんとのことで、ああもうそれだけで観に行く価値大有り。大正解。
映画を観ている最中もお腹がぐーぐー鳴って仕方なく。
ただ焼いただけの子芋…筍の炊いたん…ごはんのおこげ…。
セリやミョウガ、シソにミツバといった香りの良い野菜を、炊き立てごはんに混ぜるだけでふわっと香る良い匂い。口の中もさっぱりしておいしい。
ああ、よだれが出てくる。
とても良い映画だったなーとホクホクしながら実家へ行くと、
山形のおっちゃんから届いた里芋で両親が芋煮を作っていた。
畑の恵みよーー!!ありがたきしあわせーー!!
山形と言えばこの季節は芋煮ー!!!(うちは醤油ベース+牛肉な芋煮。
その他おっちゃんが漬けた漬物や、ラ・フランスなども贈られていた。
恩恵を盛大に受け取り続けて早ウン十年。
これもいずれ無くなるんだよなと思うと、おっちゃんたちが生きている間に承継しておきたいことがたくさんある。
ひとつひとつをじっくり丁寧に見る、聴く、嗅ぐ。触れる。教えてもらう。
そんなおっちゃんからジャストタイミングで電話がかかってきたので、スピーカーモードにしてみんなで談笑。
贈り物のお礼と近況報告をしつつ、このあたりの話をトス。意見交換をする。
hitorigochiru15.hatenablog.com
勘違いしていたのだが、伯父は50歳で早期退職をして故郷に戻って、家を購入したというではないか。
わたしはてっきり定年の60手前での出来事だったと思い込んでいたので驚いた。
いま流行りのFIREってやつじゃん。まじか。50歳かー。
字面だけ並べたら悠々自適な生活?に思うかもしれないが、誰よりも苦労人である。(本人は苦労と思ってないけど。
父方の親族は特に、誰も伯父に足を向けて寝れないと思う。
おっちゃんが故郷に戻ると安心したのか、祖父は亡くなり、転倒してそのままほぼ寝たきり状態になったばあちゃんの介護。そして見送り。
いま思い出してもこみ上げてくるが、おっちゃんちに介護用のオムツだけでなく、生理用ナプキンが積んであるのを見た時のなんとも形容しがたい気持ち。
これはわたしの偏見というか刷り込みのひとつなのだろうけど、
”息子”が、母親の下の世話をするというのは、
”娘”がそれをするよりも遥かに辛いものがあるなと思ったのだった。
☆
1日のルーティン、食の話、お金の話、住まいの話をしていると、
「なつみは俺と価値観が似てるなー」と本人からお墨付きを頂いた。笑
伯父の歩んできた道・生きてきた時代と、わたしのとでは当然異なるが、
その人が持つ資質や生き方といったものは時代が変われど不変だ。
結局のところ、目の前にめちゃめちゃ参考になる話や目標となる人がいても、
”自分が”それに気が付けなければ、それを採用しなければ、話はただの雑音であり、人も単なる人でしかないんだよな。
いつだってすべては自分が決めること。己の取捨選択だ。
言えることは、伯父は良い方に堅実で誠実だということ。
そしてわたしはそこに重きを置き、価値だと思っているということだ。
マネしたくとも、ちっともうまくいかないのは、人に対する寛容さ。器の大きさだ。
ちっせえ人間だなー自分。と、おっちゃんやその他目標とする人たちを見て毎度思う。
「姉ちゃんは気難しいからなー」
と、弟の言葉がリフレイン。
ホントそれ。
そんな自分を嫌いではないけれど、
気難しいってのは、柔軟さに欠けるタダの自己中頑固野郎なわけで。
それが良い方に作用することもあるかもしれないが、足かせになる方が圧倒的に多いなと思う。
わたしの中には小3男子の他に、「ならぬものは、ならぬ!!!!」とか言ってる石頭な口うるさい侍おじさんが居てだな。割と出張ってくるのよなー。
伯父くらいになったときに今よりはもうちょっとマシになっているだろうか。
なっていたいなあ。